出発の音色

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施設で暮らす私に両親はいない。だから親子遠足は私にとって苦痛でしかない。
友達を見つめる。私にも両親がいたら…
「そういう気持ちは口に出したほうがいいよ。口に出したら、奇跡が起こるかもしれないよ」
先生の言葉に、ありえない…と思いながらも私は気持ちを口にした。
『傍にいてほしかった』
…ほらね。何も起きない。
「じゃあ次は『傍にいて』って気持ちを込めて言ってみて」
それで何が変わるのだろう?とりあえず言ってみるか。
『傍にいて』
両手に温かさを感じた。顔を上げるとお父さんとお母さんがそこにいた。
「ほらね。口にすると、奇跡は起こるんだから」

一人ではしゃぐ私の姿に周りの大人達は憐みの目を向ける。
だけど友達は私に笑いかける。
「お父さんとお母さん。来てくれたんだね」
それはイマジナリーフレンド。子どもだけに見える、とっておきの魔法が生み出した奇跡。
バスの扉が開く。楽しい遠足の始まりだ。
公開:24/05/05 20:53

幸運な野良猫

yahoo!サーバーに問題が発生したらしく2022年9月1日より2週間入れなかったので新規にアカウント取得。
半年以上毎日Yahoo!IDでログインを試みるも、現在進行形でログインできない状態です。#EY003って何だ?
運営に報告するも、ずっと無視されております。自動応答メールだけが返ってくる…1年経過で、もう諦めた…

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