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「このビール、チビチビしか飲めないんです」
元教師の彼は、僕に缶を差し出した。
ラベルには、“自己肯定感ビール”。副作用:通知表の言葉が溶けます、とある。
一気に飲むと苦い。
だから僕は、チビチビとやった。
「協調性がない」「空気が読めない」——あの頃の泡が、喉を通るたびに弾けていく。
最後のひとくち。
彼が笑って言った。
「あなたは、あなたでいいんです」
その言葉が、僕の中で静かに沁みた。
問いは残った。
チビチビじゃないと、届かない言葉があるのかもしれない。
元教師の彼は、僕に缶を差し出した。
ラベルには、“自己肯定感ビール”。副作用:通知表の言葉が溶けます、とある。
一気に飲むと苦い。
だから僕は、チビチビとやった。
「協調性がない」「空気が読めない」——あの頃の泡が、喉を通るたびに弾けていく。
最後のひとくち。
彼が笑って言った。
「あなたは、あなたでいいんです」
その言葉が、僕の中で静かに沁みた。
問いは残った。
チビチビじゃないと、届かない言葉があるのかもしれない。
ファンタジー
公開:25/11/09 07:00
更新:25/11/08 22:05
更新:25/11/08 22:05
自己肯定感
#制度批評
#静かな再起
一瞬のズレを物語に仕込み、
読み終えたあとに問いが残る作品を書いています。
答えが出ても、出なくても。
あなたの一行が、この物語の余白を広げます。
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問い屋