喉のなる夜に。
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「ねえ、お風呂の前に入れといてって言ったじゃん」
「あ、ごめん。忘れてたから、さっき冷凍庫に一本入れておいたよ」
「お、気が利くねえ」
——ぷしゅっ。
キッチンに充満するカレーの匂いを裂いて、小さな祝砲が鳴る。
華はプルタブを開けるのが苦手で、代わりに開けるのが僕の役目だ。
僕は飲めないけれど、この音は、自分のことのように心地いい。
出会った頃から、華は飲めない私を気にもしなかった。
同棲してからは、僕のためにペプシも常備されている。
「缶どうし、コツンってやるのがいいのよ」と華は言う。
誰かと食べるごはんが、必要以上に旨いとは思わない。
ひとりでも、ふたりでも。旨いものは旨い。
でも、乾杯する相手がいることは、ほんの少しだけ。
ふたりでよかったと思う。
「ねえ、たまには悠人も飲まない?」
そんな拒否権のない提案も、たまには悪くない。
喉が鳴る。腹も鳴る。
うちのカレーは、いつも通り辛い。
「あ、ごめん。忘れてたから、さっき冷凍庫に一本入れておいたよ」
「お、気が利くねえ」
——ぷしゅっ。
キッチンに充満するカレーの匂いを裂いて、小さな祝砲が鳴る。
華はプルタブを開けるのが苦手で、代わりに開けるのが僕の役目だ。
僕は飲めないけれど、この音は、自分のことのように心地いい。
出会った頃から、華は飲めない私を気にもしなかった。
同棲してからは、僕のためにペプシも常備されている。
「缶どうし、コツンってやるのがいいのよ」と華は言う。
誰かと食べるごはんが、必要以上に旨いとは思わない。
ひとりでも、ふたりでも。旨いものは旨い。
でも、乾杯する相手がいることは、ほんの少しだけ。
ふたりでよかったと思う。
「ねえ、たまには悠人も飲まない?」
そんな拒否権のない提案も、たまには悪くない。
喉が鳴る。腹も鳴る。
うちのカレーは、いつも通り辛い。
その他
公開:25/11/08 18:22
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