天国への汽笛

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毎日毎日、仕事の洪水が止まらない。
新しく持ち込まれる仕事、進行が停滞し締め切りが迫る仕事、締め切りが過ぎた仕事、上司から求められる報告書、部下の尻拭い、取引先からの苦情の電話。
何がどうなっているのかもわからず、とりあえず目の前にある火を吹きそうな仕事や、すでに火を吹いている仕事から、順に鎮火にあたる。
机にしがみつき、ぺこぺこ頭を下げ、走り回るうちに、頭が茹だって汽笛のように湯気が噴出しそうだ。
一日の終わり、退勤時間が迫り、区切りも何もついていない仕事をぶん投げて、重い足取りで家に帰る。
鞄を投げ捨て、ネクタイをひっぺがし、よれよれのワイシャツを洗濯機にダンクシュートする。
ダイニングの椅子を引きずり、冷蔵庫から取り出したキンキンに冷えた缶ビールを鷲掴みにして、プルトップに爪を立てる。
昼間の地獄の汽笛とは大違いの
「プシュー!!」
という天国への汽笛が響き渡る。
その他
公開:25/11/09 14:35
更新:25/11/09 14:54
DD4D BREWING クラフトビール プシュー

イロイロアッテナ( 西日本 )

初めまして、イロイロアッテナと申します。
趣味で小説を書いて、たまに賞やコンテストに投稿したりしています。
少しずつ、ゆっくり投稿していきますので、拙作ですか、どうぞ、よろしくお願いします。

※noteもやってます。
アカウント名は「イロイロアッテン」です。
「イロイロアッテナ」は、すでに他の方が使用されていたため。

 

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