大人になったら、
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「ほら、もう一杯飲めって」
息子は訝しげな表情で、ちびちび啜っている。
なよなよした男に育てた覚えはないが、私にはない優しさをもっている。
誰にでも慕われて、それに応えるだけの努力を重ねている。自慢の息子だ。
抱っこが下手で泣かれたのも。
徒競走で転んで悔しそうにしていたのも。
ついこの間のように、思う。
息子が年を重ねていくにつれて、毎日は顔を合わせなくなった。
ひとり暮らしをはじめてから、声を聞かない日も増えた。
お盆も年末年始も、帰ってこない年があった。
それも次第に、気にならなくなった。
たぶん、それが、大人になるということだ。
でも、大人になっているのは息子の方で。
私は少しずつ、子どもに戻ってゆく。
歳をとるということは、そういうことだ。
赤らんだ息子のグラスに、わざと泡を立ててなみなみ注ぐ。
「もういいって〜」と笑う息子を見て、私も泣きながら笑った。
息子は訝しげな表情で、ちびちび啜っている。
なよなよした男に育てた覚えはないが、私にはない優しさをもっている。
誰にでも慕われて、それに応えるだけの努力を重ねている。自慢の息子だ。
抱っこが下手で泣かれたのも。
徒競走で転んで悔しそうにしていたのも。
ついこの間のように、思う。
息子が年を重ねていくにつれて、毎日は顔を合わせなくなった。
ひとり暮らしをはじめてから、声を聞かない日も増えた。
お盆も年末年始も、帰ってこない年があった。
それも次第に、気にならなくなった。
たぶん、それが、大人になるということだ。
でも、大人になっているのは息子の方で。
私は少しずつ、子どもに戻ってゆく。
歳をとるということは、そういうことだ。
赤らんだ息子のグラスに、わざと泡を立ててなみなみ注ぐ。
「もういいって〜」と笑う息子を見て、私も泣きながら笑った。
公開:25/11/09 11:36
更新:25/11/09 11:37
更新:25/11/09 11:37
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