未来の動物園

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 息子を連れて動物園に行った。
 最初に目についたのはシャインライオン。全身金色に輝き、たてがみは日の光を浴びて七色に変化する。
 次はスーパージラフ。普段はシマウマのような体型をしているが、高い木の葉を食べる時、首がスルスルと伸びる。
 子どものふれあいコーナーにいるのはリンガルキャット。発声器官が発達し、人間の言語を正確な発音で話す。数か国語を話せるマルチリンガルキャットは、ペットとして大変な高値で売られているらしい。
 これらはみな遺伝子操作で生まれた動物たちだ。今や地球上の生物はすべて遺伝子をいじっている。

 最後に一番隅のスペースへ。そこでは「オールドヒューマン」の一家が、テレビを見て笑っていた。遺伝子操作による知能や運動能力の向上を拒んだ一族の子孫だ。

 息子が尋ねる。
「パパ、あれは何?」
「絶滅危惧種だよ」

 息子がぽつりと言った。
「幸せそうだね。僕たちよりずっと」
SF
公開:25/11/09 08:41
更新:25/11/09 08:56

ナラネコ

老後の楽しみに、短いものを時々書いています。

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