献睡

忙しい両親に代わり、幼い妹を保育園に連れて行くのは僕の仕事だ。
昨夜も遅くまで受験勉強していたから凄く眠い。妹を預けると僕は園に併設された献睡ルームに入る。
もうすでに何人か横になっている。僕も空いているベッドで横になるとすぐに睡魔を提供し始めた。
ここで集めた睡魔はお昼寝の時間に使うそうだ。
献睡を終わらせた人は出ていく際、エナジードリンクを貰っている。睡魔がいなくなると体には疲れしか残らないからなぁ…
そのエナジードリンクを僕は受け取らない。代わりにもっと良いものを受け取っている。
献睡を終え、出ていく際に先生からお弁当箱を渡される。
「今日も頑張ってね、学生さん」
その笑顔に疲れは吹き飛んだ。お弁当の味に胃袋は掴まれた。今日も１日、勉強を頑張ろうとやる気が滾る。
僕は絶対受験に合格し、保育士の資格を取ってみせる！
その時は先生、保留にしてある僕の告白の答え、ちゃんと聞かせて下さいね。