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「音、選べるよ」
熱気のこもる夏祭り。限定のビールを売る屋台で、親父がにやりと笑った。
「音?」
「缶ビール開けたときのやつ。興味ないかい」
冗談半分に、僕は言った。
「花火の音とかできますか」
「あいよ」
プルタブを引くと、小さくヒュー、ポン!
——本当に、花火みたいだ。
「“好き”って音も、できますか」
親父は「若いねえ」と笑って、缶を差し出した。
少し遅れて、彼女がやって来た。
去年も一緒に来たのに——あの夜、僕は何も言えなかった。
「待った?」
「いや、ちょうど」
並んでベンチに腰を下ろし、「せーの」でプルタブを引く。
——「「シュキッ」」
泡の弾ける音よりも、胸が先に鳴った。
彼女が目を丸くし、少し間をおいて笑う。
「ねえ、“好き”って言ったの、どっち?」
頬の熱を隠すように、僕は笑って缶を軽く合わせた。
「聞こえたなら、それでいいや」
熱気のこもる夏祭り。限定のビールを売る屋台で、親父がにやりと笑った。
「音?」
「缶ビール開けたときのやつ。興味ないかい」
冗談半分に、僕は言った。
「花火の音とかできますか」
「あいよ」
プルタブを引くと、小さくヒュー、ポン!
——本当に、花火みたいだ。
「“好き”って音も、できますか」
親父は「若いねえ」と笑って、缶を差し出した。
少し遅れて、彼女がやって来た。
去年も一緒に来たのに——あの夜、僕は何も言えなかった。
「待った?」
「いや、ちょうど」
並んでベンチに腰を下ろし、「せーの」でプルタブを引く。
——「「シュキッ」」
泡の弾ける音よりも、胸が先に鳴った。
彼女が目を丸くし、少し間をおいて笑う。
「ねえ、“好き”って言ったの、どっち?」
頬の熱を隠すように、僕は笑って缶を軽く合わせた。
「聞こえたなら、それでいいや」
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公開:25/11/08 14:17
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たかきだ ほむら