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長く続いた戦争の終わり頃、A国の辺境に一つの収容所があった。
ある日、新所長としてドウ氏が着任した。
彼は冷徹な表情を浮かべた若い男だった。
ドウ氏は静かに口を開いた。
「私が新所長ドウだ。私は貴様らを処刑しない。これから工場で働いてもらう。衣食住は全て保証する。以上だ。」
半年後、工場が完成した。
収容者達は過酷さなく働き、食事も十分、医療も受けられた。
ドウ氏は、収容者達から慕われた。
やがて戦争は終結、A国は敗北した。
ドウ氏は逮捕され裁判にかけられたが、元収容者達は彼を庇った。
裁判長が問う。
「なぜ、誰も処刑しなかった?」
ドウ氏は答えた。
「私はドウではない。所長の軍服でなりすましただけのただの脱走兵だ。」
裁判長が再び問う。
「なぜ嘘を?」
ドウ氏は初めて微笑んだ。
「この嘘だけは最後まで貫きたかった。」
『ドウ氏の嘘』は多くの命を救い、ドウ自身をも救った。
ある日、新所長としてドウ氏が着任した。
彼は冷徹な表情を浮かべた若い男だった。
ドウ氏は静かに口を開いた。
「私が新所長ドウだ。私は貴様らを処刑しない。これから工場で働いてもらう。衣食住は全て保証する。以上だ。」
半年後、工場が完成した。
収容者達は過酷さなく働き、食事も十分、医療も受けられた。
ドウ氏は、収容者達から慕われた。
やがて戦争は終結、A国は敗北した。
ドウ氏は逮捕され裁判にかけられたが、元収容者達は彼を庇った。
裁判長が問う。
「なぜ、誰も処刑しなかった?」
ドウ氏は答えた。
「私はドウではない。所長の軍服でなりすましただけのただの脱走兵だ。」
裁判長が再び問う。
「なぜ嘘を?」
ドウ氏は初めて微笑んだ。
「この嘘だけは最後まで貫きたかった。」
『ドウ氏の嘘』は多くの命を救い、ドウ自身をも救った。
その他
公開:25/11/08 13:04
加賀美 秋彦と申します。
学生時代からのショートショート好きが高じて、2025年4月から自分でも書き始めました。
SF作品を書く事が多いですが、幅広く色々なジャンルの作品を書いていきたいと思っております。
よろしくお願い致します。
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加賀美 秋彦