誘蛾灯

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 彼氏と手を繋いで夜の街を歩いていたら、向こうから一人の女が歩いてきた。その女は、頭部が誘蛾灯だった。彼氏はその女に気づいてから、じっとその女を見つめていた。ちょっと。私が声をかけても上の空だった。そしてその誘蛾灯の女とすれ違った瞬間、彼氏は手を離して、その女の後をついていってしまった。彼氏は蛾だったらしい。さっきまで繋いでいた自分の手をよく見ると、手のひらに鱗粉がついていた。
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公開:25/11/04 22:44

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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