神はシュウマツに乾杯す

4
5

宇宙が終わるのは遥かな未来で、自分には関係ない。
――誰もがそう思っていた。その週末、冷蔵庫が開くまでは……。

空気が抜けるような音がして、天の底が抜けた。そして銀河はひっくり返り、多くの者が光に吸い上げられていった。消滅かと思いきや、彼らは手をつなぎ、大きな泡となって空を漂った。残った者たちは、それを「ビッグバブル」と呼び、祝福した。

しかし、泡は徐々に欠け、残った仲間も、ひとり、またひとりと消えていく。

「終末が近い」
予言者が言った。「終わりの音は“プハー”であろう」と。

そして天が傾く。銀河が滝のように流れ落ち、泡の子たちが悲鳴を上げる。

ゴクリ――。
静寂。重力も時間も消えた。
“プハー”

そこへ新たな音が響いた。「トクトク」。
――どうやら神はおかわりを頼んだらしい。再び終末が始まる。
金曜の夜。いくつの宇宙が消滅するのだろう? 神さえも、それを知らない。
ファンタジー
公開:25/11/03 23:34
更新:25/11/04 13:23

藍見サトナリ

ご覧くださってありがとうございます。
学生時代、文芸部に所属して短いお話を書いていました。あれからウン十年、仕事、家事育児に追われて自由な創作から離れていましたが、心のリハビリ(ストレッチ?)のために登録。
//日々の生活が追ってくるため、ログインが不定期になります。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容