カタカタ、カタカタ
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残業を終え、夜遅く、帰宅する。家の電話の留守電ランプが光っている。留守電メッセージを再生する。カタカタ、カタカタ。そんな音が入っている。軽い、優しい音。それは骸骨になった彼からの留守電だ。何かを言っているのだろうけど、何を言っているのかはわからない。でも、たぶん求愛の言葉なのだろうと思う。カタカタ、カタカタ。それは、軽い、優しい、ささやかな音。骸骨になってからの彼に、私はいつしか深い愛情を抱くようになっていた。
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公開:25/11/06 09:08
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象