ジーンアーツ

　遺伝子のデザインが法律においても、社会においても許されるようになった。多くの人間が理想の人間を求めて遺伝子のデザインを始めた。医学部管轄で"ジーンアーツ"という分野もつくられるようになった。その中でも一部の人間は従来の人としての営みを尊重した。
　ある日、天変地異が起こり、人類の大多数が滅んだ。その多くはデザインされた人間たちであった。彼らは人間がつくった社会、ルールの中では無類の優秀さを誇っていたが、それは人間が"考えられる"範囲の世界でのお話。もともと生物の遺伝子は自然でイレギュラーが発生しても生き残れるように、ある時点の環境に関係なくランダムに組まれているんだから。
（２０１７年１０月３日）