認知症１日体験

去年から祖父の認知症が気になり始めた。
だから今日、家族で認知症体験をしてきた。
体験が始まると母は一言も喋らず、薄暗い部屋で目を開きぼ～っとしていた。
祖父は部屋に電気とテレビを点けた。テレビを見て、感情のなかった母の顔に微笑みが浮かぶ。
昼食後に昼食を要求する父。
祖父はお茶請けを出す。お茶請けを食べた父はお腹がいっぱいなのに気づき、昼食はあとでいいと言った。
そんな両親を見ていて、ふと、この人達は誰だ？何で自分はここにいるんだ？と、不思議に思う。
お爺さんが私の手を取り、大丈夫。落ち着いて、と優しく接してくれる。そうしていると頭のもやが少しずつ晴れていく気がした。
認知症体験が終わり、両親と私は自分達がしでかしたことに頭を抱える。
これが認知症か…それを理解したところで、祖父にもっと優しくしようと決めた。
何でそう思ったのか分からない。そもそも今日、家族でどこに出かけていたんだっけ？