茶色すごろく

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男は家で化石を転がしていた。家中でゴボッと音がしたので石を整理すると多数の琥珀が見つかった。売ると少しの小金が手に入った。
浮かれた気分で外出するとフワッとコーヒーの香りが誘ってきた。店に入るとコーヒーがゴボゴボと音を立て安らぐ香りが踊っている。飲み干すと胸の奥で何か感じた。又外へ出た。空腹だ、皆が美味そうに食べている店へ入った。
店の隅で老人が泡も音もないビールを見続けている。どうしたのですかと優しく声を掛けた。老人は男が自分を心配してくれているのに気付き、男の方を向くとコーヒーの香りがした。
これだと目を輝かせながら、店のビールはもうすぐ人手に渡ってしまう私の工房で作りました。今やっと香を捕まえたのにと残念そうに告げました。
この時男は胸の奥の光に気付いた。小金を使おう。私と一緒に作りましょう。
工房にコーヒーの香りが漂い、プシュプシュ音を立てながら琥珀色のビールが仕上がりました。
ファンタジー
公開:25/11/03 18:41

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