4
4

カシュッ!
しゅわしゅわ…

黄金色の缶を開けば、清涼感溢れる音を立てて扇形に広がり秋空へ駆け出していくきめ細やかな泡。
穏やかな陽射しが無垢な白い泡たちを輝かせ、金木犀にほんのりと染まった甘い風が緩やかに揺らす。

しゃぼん玉を初めて空まで飛ばしたあの日から、泡で何かを作るのが好きだった。

子供の頃、食器を洗う母の横で洗剤の泡の雪だるまを作った。祖母と海で遊んだ時、波打ち際の泡でスカイツリーを建築した。シャンプーでモコモコに泡立った父の頭には鳥の巣を作り、泡の鳥が泡の卵まで産んだ事もある。

ゴクっゴクっ…

扇形に揺れる愛しい泡に顔を埋めて飲む一杯。

っはぁ〜!

大人になり、泡と同じくらいビールに夢中になった。

グビグビ…っはぁ〜!!

長かった。
大好きなものを掛け合わせ、やっと完成した私の最高傑作。

缶を片手に見上げれば、七色に輝く泡扇が歌う様に空をしゅわしゅわ扇いでる。
その他
公開:25/11/02 22:11
11月に11作目 キリがよいので私はこの辺で 楽しく書けて嬉しかったぁ~ 感謝!!

ネモフィラの旅人( あちこち )

旅人なのでいたりいなかったりします

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容