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畑を前にNO家の男はため息をつく。
昔はノーと言えない日本人の言葉通りNOは高値で売れた。代々専業として品質には自信がある。どんな勧誘や指示も角が立たず断れるとあって重宝された。
しかし時代の流れで若者を中心に断ることに躊躇がなくなり、若者のYES離れと叫ばれた。
「あんた」後ろから妻の声。
「やっぱり兼業でいこうと思う」
「日本人はYESだけ自給自足できるんだよ。他に何を育てるのさ」
「アイを育てようと思う。日本人は愛の言葉が足りないはずだ」
「私はうちのNO好きだよ。何度も地区の会計係を断れたし、これから高齢者が詐欺に会わないようにうちのNOがもっと必要になる日が来るよ」
男は顔を上げた。
「親父達が培ってきたこいつらを…」たわわに実ったNOを触る。
「やれる所までやろうよ」妻が手を添えた。
「そうだな。やるよ」
そして、もぎったNOをがぶりと一口頬張った。
「やっぱり、やめるよ」
昔はノーと言えない日本人の言葉通りNOは高値で売れた。代々専業として品質には自信がある。どんな勧誘や指示も角が立たず断れるとあって重宝された。
しかし時代の流れで若者を中心に断ることに躊躇がなくなり、若者のYES離れと叫ばれた。
「あんた」後ろから妻の声。
「やっぱり兼業でいこうと思う」
「日本人はYESだけ自給自足できるんだよ。他に何を育てるのさ」
「アイを育てようと思う。日本人は愛の言葉が足りないはずだ」
「私はうちのNO好きだよ。何度も地区の会計係を断れたし、これから高齢者が詐欺に会わないようにうちのNOがもっと必要になる日が来るよ」
男は顔を上げた。
「親父達が培ってきたこいつらを…」たわわに実ったNOを触る。
「やれる所までやろうよ」妻が手を添えた。
「そうだな。やるよ」
そして、もぎったNOをがぶりと一口頬張った。
「やっぱり、やめるよ」
SF
公開:25/11/02 18:52
更新:25/11/02 21:18
更新:25/11/02 21:18
まずは自分が楽しむこと。
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吉田図工