そして私は途方に暮れる

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理系志望の女子に、文学をぼろくそ言われた。あんまり気持ちが大きく波打たなかったのは、私がやっているのが文学ではなく文芸だから、なのかなあ、なんて、雲の流れを見ながら考える。

その女子が、多くいる女子のなかで、わざわざ私を選んで言ってきたのは、私のやっていることに、何か、言いたいんじゃなくて、私に、何か、言いたかったんだろうなあ、なんて、夕陽を見ながら考える。

だから、私がやっているのが、文芸だろうと、文学だろうと、数学だろうと、物理だろうと、その女子は、私に、何かしらを言わずにはいられなかったんだろうなあ、なんて、買いもの帰りのおかあさん世代を見ながら考える。

ああ、なんだあ、そっか、そっか
私、あの女子から、嫌われてるのかあ

ごめん、ごめん
あなたのその気持ちに
気づいてあげらんなくって

ほんと、私って、ダメだなあ、なんて、月を見ながら考えていた。










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青春
公開:25/10/29 19:18
更新:25/10/30 08:43

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