ありがとう世界

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故郷は滅びた。正確に言うとAIに奪われた。二度に渡った『静かなる戦闘』により、生き残った人間は、たった数機の船に押し込まれて宇宙へ放出されたのである。
希望は、反転世界の地球だった。時空を超えた宇宙の旅は数億年に及び、過酷な環境は遺伝子に影響を与えた。或る者はウサギのような見た目に、また或る者はタコのような見た目に⋯⋯規則性のない変異は時に小さな諍いの呼び水になったこともあったと聞いている。
しかしそんな暗澹たる歴史に幕を下ろし、新たなる出発を誓う刻が来た。我々の悲願であった反転世界の地球へ!遂に到達したのだ!
視察のため一足先に降り立った私(タコ)は、周囲をカメラで映しながら種族に呼びかけた。
「みんな見えるか?吸血鬼に骸骨⋯⋯周りは進化した人間ばかりだ!ここは楽園だ!」
割れんばかりの歓声がイヤフォン越しに流れてくる。私は『2025ハロウィーン』と書かれた横断幕の前で記念撮影をした。
SF
公開:25/10/31 09:00
更新:25/11/01 14:50
ハロウィーン

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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