琥珀色の犬
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                                 私の名はぐびぐびである。ビール好きの達夫が名付け親だ。目が開くかどうかくらいの子犬の時にこの家に来た。当時はよく晩酌の時にだっこしてもらっていて、奥様が達夫に缶を渡すとジョッキには琥珀色の液が注ぎ込まれた。
達夫の娘が結婚式の日、私は行儀よく円卓の裾に寝そべっていたが、運悪く親戚の子供たちのおもちゃになっていた。助けを求めたが、彼は上機嫌で相手の父親のコップにビールを注いでいた。
「へーぐびぐびっていうんですね」
「私が名付けたんです、なかなかでしょ」
しかし達夫は夭折した。孫がまだ歩けるかどうかくらいで。私も置いて。奥様は毎朝仏壇に供え物をした。もちろんコップにビールも注いだ。
「あなたの名前を呼ぶたびに、思い出しちゃうから駄目ね」
その孫が今日、成人の日を迎えた。私の子犬をだっこして「ちびちび」って名前はどうかなって。私は静かにうなずいた。奥様が嬉しそうに仏前にビールを供えた。
    達夫の娘が結婚式の日、私は行儀よく円卓の裾に寝そべっていたが、運悪く親戚の子供たちのおもちゃになっていた。助けを求めたが、彼は上機嫌で相手の父親のコップにビールを注いでいた。
「へーぐびぐびっていうんですね」
「私が名付けたんです、なかなかでしょ」
しかし達夫は夭折した。孫がまだ歩けるかどうかくらいで。私も置いて。奥様は毎朝仏壇に供え物をした。もちろんコップにビールも注いだ。
「あなたの名前を呼ぶたびに、思い出しちゃうから駄目ね」
その孫が今日、成人の日を迎えた。私の子犬をだっこして「ちびちび」って名前はどうかなって。私は静かにうなずいた。奥様が嬉しそうに仏前にビールを供えた。
        その他
      
      公開:25/10/31 00:28
更新:25/10/31 00:48
    更新:25/10/31 00:48
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                           miyama_atushi
miyama_atushi