普通ライオンは
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夜中、スーツを着た中年男が、コンビニで、ライオンを買っていく。店員は、彼が、一緒にシマウマを買っていかなかったことを不審に思う。普通ライオンは、シマウマとセットで買うものだ。「家にシマウマがあるのかな」店員は一旦そう思うが、不吉な予感が拭えず、同僚にレジを任せて店を抜け出し、そっと男の後をつけていく。男はライオンを背負ったまま、公園に入っていく。そして芝生に入っていき、ライオンの口にはめられていた口輪を外す。ライオンは飢えている。コンビニのライオンだから当然だ。ライオンは男に飛び掛かる。店員は思わず目をそらす。外灯の灯りに照らされて見えた男の顔は歓喜に満ちている。ライオンは男を食い終えると、コンビニに戻っていく。店員は男の死体の傍に遺書を見つけ、深いため息をつく。
ホラー
公開:25/10/30 19:46
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象