グ美人コンテスト

「レポーターの松島です。今日はグ美人コンテストに来ています」
　ステージの下に並んだ人の一番前に松島はいた。
「虞美人といえば、昔の中国の美女ですが、このグ美人コンテストは一味違います。いまどき、美人コンテストなんて、ルッキズムを助長すると心配のみなさん、安心してください。このグ美人コンテストは音だけで審査するので、外見は関係ありません。年齢、いえ、性別さえも超えたコンテストです」
　松島はステージの上に上がった。
「だから、男の私でも参加可能です。それにちょっと、自信があるんですよ。あ、ありがとうございます」
　松島はスポンサーのビール缶を受け取ると、すぐに開けた。
　プシュ。
「そう、このビールを一番美味しそうな音を立てて飲んだ人がグビジンです」
　そう言うと、松島はグビグビッとビールを飲み干した。