おいしい話

祖母は初孫である娘を見て頬を緩ませる。
「お婆ちゃんですよ～」なんて言っては赤ちゃんを笑わせる。
産まれる前は、やれ男の子がいいだの、やれ期待外れだの、散々言っていたがいざ産まれてみるとその可愛さにすっかりやられてしまったようだ。
孫が生きがいになっているようで、若干若返ったようにも見える。
「食べちゃいたいくらい可愛いわ」と、不穏な発言は気になるがまあ、関係は良好と言えよう。
そんな母だが…やっぱり最近若返った気がする。母はあんなにも、綺麗だったっけ？
「ホント、若い子が傍にいるっていいわ。その若さを頂けるのだから」
その言葉にぞくっとした私は急いで赤ちゃんに駆け寄る。
が、遅かった…母に若さを吸い取られた娘は０歳にして小学校低学年くらいの大きさになっていた。
「やっぱり女の子は成長が早いわね」なんてわざとらしく言う母。
もう十分に美味しい思いをして満足したのか、娘に会いに来なくなった。