おいしい話

ある日、悪使という悪魔７天使３という割合のおかしな奴が現れ、俺にこう囁いた。
「貴方の親友。凄くモテますねぇ…モテる理由は”才能”ですって。ちょっと鼻につきますよね。だからその才能、ちょっくら盗んできて差し上げましょう」
親友の為を思うのなら、ここではっきりと断っていただろう。
だが正直、俺もモテたい。
親友は今までモテていたんだ。もういいだろう。今度は俺がモテる番だ。
俺は悪使に頼み、親友のモテる才能とやらを盗んでもらった。これで俺もモテ男だ！と、喜んだ。
俺は知らなかった。親友がモテる為にしてきた努力を。しかもそれが苦にならなかっただって？それを人は才能と呼ぶんだろうな。
俺はモテる努力が苦にならない才能を手に入れた。だが努力する気はなく、結局モテなかった。
モテるのをやめた親友は、本命の彼女に尽くし、前より幸せそうだ。
親友ばかりがおいしい思いをするなんて、やっぱりこの世は不公平だ。