六人の大臣と不思議な内閣

10
10

遠い国、タリラリラン王国で国王が突然、民の代表を大臣にすると宣言した。
こうして誕生したのが、サラリーマン・商人・百姓・軍人・公務員・建設各大臣だ。
サラリーマン大臣は、会議を減らす為の会議を開催し、商人大臣は先ず国自体があきんどになろうと叫んだ。
百姓大臣は会議室も田圃にして、米の増産を計れと主張した。軍人大臣はロボットを整列させ号令掛けの練習から初めた。
公務員大臣は、前例がないと新規起案の書類を積み上げるばかりである。建設大臣は、改革には先ず基盤となる役所の建て替えが急務だと叫び、国中にクレーンが立ち並び、新庁舎の建設ラッシュとなった。誰も中身の話は一切しなくなった。
予算はすべてコンクリートと諸資材に消え、国王は頭を抱えるだけだった。
だが民は笑っていた。立派な建物ばかりで中身が空っぽで、まるで俺たちの国らしいなと。
国王は呟いた、本当は国を造るのは、建物じゃなく人の心なのだと。
ファンタジー
公開:25/10/26 15:55

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容