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プシュー。
グラスに注ぐ角度を、17度に保つ。
「ピピッ」と泡が鳴った。今夜も通信は良好だ。
発見したのは、へべれけになった常連客だった。
酔いの戯れに、ビールを注いで飲むまでの音を録音したら、一定の泡立ちパターンにモールス信号が混ざっていたそうだ。
解析すると、差出人は「宇宙ビール連盟」。
加盟しているのは宇宙中の炭酸生命体。彼らは泡を通して世界を感じ、泡を通して交信する。そして無類のビール好き。
わたしのバルのカウンターのあたりがアンテナの特異点らしく、今のところ、わたしの店が地球唯一の「発泡交信所」となっている。
新作ビールを試すたび、彼らが返事をくれる。
「ゴクッゴクッ」は「美味」。
「プクプクプシュー」は「ちょっと合わない」。
時々、「ピチュルルル」は、たぶん酔ってる。
今夜も泡は踊る。
遠い星のどこかで、誰かがグラスを掲げている。
――乾杯の音が、銀河を渡って返ってきた。
グラスに注ぐ角度を、17度に保つ。
「ピピッ」と泡が鳴った。今夜も通信は良好だ。
発見したのは、へべれけになった常連客だった。
酔いの戯れに、ビールを注いで飲むまでの音を録音したら、一定の泡立ちパターンにモールス信号が混ざっていたそうだ。
解析すると、差出人は「宇宙ビール連盟」。
加盟しているのは宇宙中の炭酸生命体。彼らは泡を通して世界を感じ、泡を通して交信する。そして無類のビール好き。
わたしのバルのカウンターのあたりがアンテナの特異点らしく、今のところ、わたしの店が地球唯一の「発泡交信所」となっている。
新作ビールを試すたび、彼らが返事をくれる。
「ゴクッゴクッ」は「美味」。
「プクプクプシュー」は「ちょっと合わない」。
時々、「ピチュルルル」は、たぶん酔ってる。
今夜も泡は踊る。
遠い星のどこかで、誰かがグラスを掲げている。
――乾杯の音が、銀河を渡って返ってきた。
ファンタジー
公開:25/10/28 13:49
更新:25/11/09 16:17
更新:25/11/09 16:17
ご覧くださってありがとうございます。
学生時代、文芸部に所属して短いお話を書いていました。あれからウン十年、仕事、家事育児に追われて自由な創作から離れていましたが、心のリハビリ(ストレッチ?)のために登録。
//日々の生活が追ってくるため、ログインが不定期になります。
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藍見サトナリ