悪口
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深夜のコンビニで、夜勤をしている中年男が、レジに立っている。客は誰もいない。同僚も今は控室だ。中年男はふいに顔をしかめる。そして、そっとレジを出て、パン売り場の棚の前に立つ。そして、いくつかのパンを手に取り、ささやく。「おにぎりの悪口を言うのはやめなさい」そうパンたちに言い聞かせる。そして、棚にパンを戻し、レジに帰る。この中年男の父親は、パン屋を営んでいた。優秀な職人だった。その才能は中年男にも受け継がれていた。中年男は、そのことを恨みに思うことがある。父親とは、とうの昔に縁を切っている。
ファンタジー
公開:25/10/27 16:24
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象