黒猫ラベル

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黒猫は外国航路の料理人の飼い猫だ。船は半年休んで再び出航するので、料理人の田舎で休む事にした。田舎にはビール工房が出来ていた。猫は工房で猫の手も借りたいと言う人員募集を見つけ面接に行くと、君には鼠捕り係をしてもらうと採用された。
或夜鼠を追っていて、樽の中へ嵌りブクブクしていたら工場長が見つけ助けてくれたが、小言を言ったので猫は樽中のビールは苦すぎる。この味はだめだと喉をゴロゴロ鳴らして反論した。俺は主の晩酌のお伴をしていたから、味には煩いぞと得意気に鼻をプシュッと鳴らした。工場長は味で悩んでいたので、猫は研究部の味見掛かりになれた。猫の味覚は素晴らしかったが反対者には爪を立てて脅し押さえつけて美味いビールを誕生させた。工場長は猫に敬意を払ってラベルは黒猫を描いて貼る事にした。
半年が経ち料理人と黒猫は船に戻った。積荷は黒猫ラベルのビールだ。船はブワープワーと音をたて出航した。
ファンタジー
公開:25/10/27 16:12

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