スパイ防止帽

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「スパイ検査を行います!」
閣議室の閣僚たちは目を白黒させた。
「ノムラ君、我々の中に宇宙人がいるとでも?」
「ギョーン星人の擬態は地球人と見分けがつかないので、念のための措置です⋯⋯」
俺はスーツケースの装置を取り出した。
「この装置を頭に被ると彼らの擬態を解くことができます」
「それを被れと?」
「ハイ」
皆、不快感を露わにしたが、それでスパイがあぶり出せるならと承諾した。
「では、私から」
大統領が被るとぶーんという音を立て、やがてグリーンのライトが点滅した。
「私は人間のようだな」
次々と検査が進み、全員人間と判定された。

閣僚か、それに近い議員にスパイがいるのは間違いないのに!
まさか、装置が壊れているのか?
俺は自室の鏡の前で装置を被って点検した。
ぶーんと音を立て、やがてライトが紅く点滅⋯⋯。
「えっ!?」
鏡に映る俺の姿は、あの芋虫に似たギョーン星人に変わっていた──。
SF
公開:25/10/24 14:20
スパイ防止法

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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