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ゴクゴク、プハー
『ビーッ。二デシベル高いです。認証不可』
ゴクゴク、プハー
『ビーッ。三デシベル低いです。認証不可』
「あなた、早く」
「もう十杯目だぞ。これ以上は飲めない」
「あなたが、擬音認証玄関ドアなんか取り付けるからでしょ!しかも、内側に。普通、外でしょ」
「高いんだ。盗まれたら困る」
 このドアは登録した擬音を間違いなく鳴らさないと開かないという仕組みだ。
「なんでビールの飲む音なんて登録したのよ!早く開けてよ!家火事なのよ。死んじゃうわ」
「最期の晩酌だな。はは」
「笑えないわよ」
「うぅ、飲み過ぎて吐きそう」
「やめてよ」
「おっ!そこの窓から吐こう。掃き出し窓だけに吐くってか、うまい!てか、この掃き出し窓から逃げたら?」
「そ、それが…無理なの」
「なんで?」
「それ私が取り付けた、擬音認証掃き出し窓なの。しかも、登録音はあなたと一緒。夫婦よね〜。あなたまだ飲める?」
ファンタジー
公開:25/10/24 14:07

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