帰って下さい

「帰って下さい」
１０月になってもまだ居座り続ける夏にお願いする。
「絶対に嫌！」
だがお願いすればするほど夏は意固地になり、１０月だというのに真夏日を生む。
本当に勘弁してほしい…これでは秋が来れないではないか…
仕方がない…あの方を呼ぼう…
『いつまで居座っているつもりだ、バカモン！』
「ひぃ！冬将軍様！？」
『もう１０月も後半だというに、貴様ときたらだらだらと真夏日を続けおって…恥を知れ！』
「ももも申し訳ありませんでしたー！」
荷物をまとめ、逃げるように去って行く夏。
ふぅ…だいぶ遅くなったがこれでやっと秋が来る。
ほっと胸をなでおろしていると、冬将軍様がその場にどっかりと腰を下ろした。
「…冬将軍様？何をなさっているんですか？」
『ん？もうすぐ冬だろう？なら、帰るのも面倒だ。このまま、ここにいさせてもらおう』
夏が終わったと思ったら、急に冬が来た。
冬将軍様。貴方も帰って下さい。