彼女の秘密

「私はあなたとは違う…だから一緒にはいられない…」
金色の髪の彼女が僕のもとから去ろうとする。僕は彼女の手を掴み、抱き寄せた。
トク…トク…と心臓の音。何も変わらない。僕達は同じ、人間だ。
「違う…」
違わない！と強く言い返し、腕に力を籠める。絶対に離さない。だって僕は君を、愛しているのだから。
もし君が人魚姫みたく泡になろうというのなら、僕はそれを全て飲み干すと誓おう。
「本当に…私でいいの？」
じゅわっと溢れる涙が頬を伝う。僕は彼女に改めて、プロポーズをした。

後日、結婚の挨拶に彼女の実家を訪れた。
机をはさんで、僕の目の前には彼女の父と１本の缶ビール。
「紹介するわ。ビールが好きすぎてビールと結婚した父と、そんな父と結婚し、私を産んでくれたビールの母よ」
彼女の紹介に二日酔いのごとく胸に溜まっていたモヤモヤがすとんと胃に落ちた。
通りで僕は彼女にいつだって酔わされっぱなしなわけだ…