HappyHalloween!

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ギィ…
古びた洋館の門をくぐると吸血鬼風な紳士に出迎えられた。

(こんばんは)
「こんばんは。さぁ、こちらへ」

紅く潤んだ月光の射し込む螺旋階段を上がった先にはダンスホール。仮面にドレスや頭にカボチャを被ったタキシード姿の人達がステップを踏み鳴らし踊っている。

(楽しそう)
「私がエスコートいたします。その前に…」

どうぞと渡されたのは拍手の如くパチパチと爆ぜる紅のビール。

(飲むの?)
「えぇ、思いっきり」

両手でジョッキを持ち上げ口付ける。

…ゴクッ!?

久々の感覚に大きく目を見開いた。全ての音が私の体で鳴る事を終えて以来、喉越しの音を感じる事など無かったから。

「貴女の鼓動が再び鳴る事はありませんが…」

差し出された手に微笑み、自分の手を重ねる。

「今宵はハロウィン。心ゆくまで音を奏でて」

ダンスフロアへ踏み出した私のガラスの靴がコツーンと透明な音を響かせた。
その他
公開:25/10/31 00:00
更新:25/10/25 11:19
可愛い系狼男風か 大人な吸血鬼風の どっちにするかで迷った 10/25予約登録

ネモフィラの旅人( あちこち )

旅人なのでいたりいなかったりします

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