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旅先で入ったバーで、彼女は三杯目のビールを注文した。カウンターに置かれたビールをグビッと飲み干す。
「おいしい」ほろ酔いの彼女が若いバーテンの顔を見つめる。見つめ返すこの世のものとは思えぬほど美しい琥珀色の瞳。
胸の鼓動を抑え、彼女は四杯目をグビッと飲み干した。
いつしかカウンターに伏して眠った彼女は、目を覚ますと辺りを見まわし、カウンター内の年配の男性に聞いた。「あの、先ほどの若いバーテンさんは?」
すると男性は「バーテンはずっと私ひとりですが」と答え、さらに続けた。「そうそう、ここはたまにビールの神様が現れて、お客様と二人だけの夢時間を過ごされるのです。貴女は選ばれたのですね」
彼女はもう一杯グビッとビールをあおった。あれほど綺麗な瞳の男性にはきっともう会えない。
落胆しながら店の外へ出ると、琥珀色の風が彼女の後ろ姿を見送った。プハーッと小さな音を響かせながら。
「おいしい」ほろ酔いの彼女が若いバーテンの顔を見つめる。見つめ返すこの世のものとは思えぬほど美しい琥珀色の瞳。
胸の鼓動を抑え、彼女は四杯目をグビッと飲み干した。
いつしかカウンターに伏して眠った彼女は、目を覚ますと辺りを見まわし、カウンター内の年配の男性に聞いた。「あの、先ほどの若いバーテンさんは?」
すると男性は「バーテンはずっと私ひとりですが」と答え、さらに続けた。「そうそう、ここはたまにビールの神様が現れて、お客様と二人だけの夢時間を過ごされるのです。貴女は選ばれたのですね」
彼女はもう一杯グビッとビールをあおった。あれほど綺麗な瞳の男性にはきっともう会えない。
落胆しながら店の外へ出ると、琥珀色の風が彼女の後ろ姿を見送った。プハーッと小さな音を響かせながら。
ファンタジー
公開:25/10/19 00:18
更新:25/10/21 20:47
更新:25/10/21 20:47
2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。
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