命の洗濯係

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スキマバイトを探していると、『命の洗濯係』という募集を見つけた。仕事内容は”アルコールを一杯”。話のネタにしたくて応募したが問題は場所で、地図アプリでは埠頭を指している。こんなところに酒をだす店なんてないだろうと思いながら夕暮れの道を歩いていたら、移動式屋台に出会った。俺は『天国屋』と書かれたのれんをくぐって声をかけた。
「こんにちは。バイトで来ました」
「待ってたよ!」
店主とおぼしき同世代の男は、缶ビールをカウンターへ置く。
「疲れたから今日は店じまい。一緒に飲んでくれる仲間が欲しかったんだ」
「そうだったんですね」
プルタブを開けて乾杯。半分ほどグビグビ飲んで饒舌になった俺は、お笑い芸人を目指していると打ち明けた。
「人生は一度きりだ。精一杯生きようぜ!」
「賛成!」
意気投合した俺たちはコンビを組んだ。あれから五年経つが、ともに屋台を引きながら夢を追いかけている。
その他
公開:25/10/18 07:01
更新:25/10/18 14:58

いちいおと( japan )

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintを使っています。

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