16
          
          
             10
          
                                式場にボン!と腹立ちまぎれの栓抜き音が響いた。
ブシッ!とキレたプルタブが、飲み口角からビール泡を飛ばして応戦する。晴れの席に相応しからぬ不穏なホップ香をまき散らし、一缶と一瓶のガチンコ勝負が始まった。
先制は金コーナー。ジョワワワと注がれた缶ビールが、グラスに完璧な黄金比を生む。対する黒コーナー、ドッドッドッと怒涛の追い注ぎを見せる瓶ビール。高級感漂うベルベットブラックに、缶に残った金ビールがブチブチとふてくされた音で弾ける。苦酒を飲み潰すのもたまには良いが、泡の嵩とともに祝賀ムードも盛り下がってしまう。
瓶ビールと缶ビールはどちらがより美味しいか。酒で酒を洗う永遠の論争ではある。しかし、グラスに注いでしまえば、飲み手の好みの問題でしかないだろうに。
どのみち犬も食わない何とやらだ。互いに相手が美味いと譲らないのだから。
卓上でかち合った夫婦グラスが、チュッと密やかな乾杯で沈黙した。
    ブシッ!とキレたプルタブが、飲み口角からビール泡を飛ばして応戦する。晴れの席に相応しからぬ不穏なホップ香をまき散らし、一缶と一瓶のガチンコ勝負が始まった。
先制は金コーナー。ジョワワワと注がれた缶ビールが、グラスに完璧な黄金比を生む。対する黒コーナー、ドッドッドッと怒涛の追い注ぎを見せる瓶ビール。高級感漂うベルベットブラックに、缶に残った金ビールがブチブチとふてくされた音で弾ける。苦酒を飲み潰すのもたまには良いが、泡の嵩とともに祝賀ムードも盛り下がってしまう。
瓶ビールと缶ビールはどちらがより美味しいか。酒で酒を洗う永遠の論争ではある。しかし、グラスに注いでしまえば、飲み手の好みの問題でしかないだろうに。
どのみち犬も食わない何とやらだ。互いに相手が美味いと譲らないのだから。
卓上でかち合った夫婦グラスが、チュッと密やかな乾杯で沈黙した。
公開:25/10/17 13:42      
    
                  クラフトビールコンテスト③ 
              
    創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.14執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
ログインするとコメントを投稿できます
                           創樹
                創樹