跳ねる雨粒

　雨粒が地面で跳ねている。秋雨前線の影響か本降りの雨だ。
それにしても今日は傘に当たる雨粒の音が違う気がする。ビニール傘越しに空を見上げると落ちてくる雨粒たちと目が合った。はっとしたのもつかの間、雨粒たちはビニール傘に落ちピチピチと跳ねていくうちに他の雨粒と混ざり合い傘のつゆ先から滴り落ちた。これは……。よく見ると地面で跳ねる雨粒も今日は活きがいい。その場にしゃがんで地面を観察していたが段々と雨足が強くなってきた。これは早く家路に着いた方が良さそうだと立ち上がろうとした時、
『ドザァー！』
沢山の雨粒の群れが降ってきて押し戻された。雨粒たちは混ざり合い大きな流れとなって流れてゆく。その様は海中で繰り広げられる食物連鎖を感じさせた。雨足が一瞬弱まった隙に急いで走り出し、何とか雨粒の群れから抜け出し家へ急いだ。

翌朝、雨は上がり水たまりから
『ばちゃん！』
と何か跳ねる音で目が覚めた。