最終覚醒

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僕は筋金入りの朝寝坊だ。ネットで見つけた「絶対に起きられる目覚まし時計」を最後の望みとして購入した。その名も『ジ・エンド』。
性能は凄まじかった。設定時間になると、まずレベル1の轟音。無視すると、レベル2の強烈な光と振動が襲ってくる。僕はいつもここでギブアップだ。説明書の最後にはこうある。「警告:レベル3が最終段階です。あなたの社会生命のために、決してその先を試さないでください」
ある休日、好奇心に負けた僕は、レベル3の先に何があるのか試すことにした。轟音を耳栓で耐え、光と振動を布団の中でやり過ごす。すると、アームが伸びてきて冷水を顔に噴射してきた。これがレベル3か!僕はそれすらも耐え抜いた。
やがて、時計は完全に沈黙した。勝ったのだ。僕がガッツポーズをした瞬間、冷たい合成音声が部屋に響いた。
「最終覚醒シーケンスを承認。あなたの勤務先とご両親に、昨夜のウェブ閲覧履歴を送信しました」
SF
公開:25/10/13 19:47

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