熱刊(あつかん)を一冊

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今日も恒例の熱刊と行きますか。
残業終わりに本を買い、ちびちび読みながら夜道を帰る。
踏切で、信号待ちで、街灯の切れ間で。ページをめくるごとに気持ちが温まり、寒空にホ、と読点が漏れた。
暖房の利いた部屋で一冊やるのも捨てがたいが、木枯らしに背中を蹴飛ばされ、首をすくめつつ駆け足に読み飛ばす瞬間が、最高にアツい読書だと思う。

アパートまで五分。少し足をゆるめ、クライマックスの数ページをあおる。
おおむね直感勝負の表紙買い、大当たりもハズレも正直ある。ハズレの方が多いかも知れない。でも、ごくまれにガツンと胸の底に響く、この時の為に読み続けたんだと感じる一冊に、一ページに、ひと言に巡り合う。だから読んべえはやめられない。
ほろ酔い加減に文(ふみ)ずさみ、ラストシーンを連れて坂道を上る。

表紙を閉じ、ドアを開ける。
鼻先に沁みる読後感。熱々の余韻も良い感じに丸まって、これにて一刊落着。
青春
公開:25/10/13 17:13
ラジオ『月の音色』 月の文学館 テーマ:おいしい話 朗読採用いただきました♪

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.14執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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