天国の扉　地獄の扉

目が覚めると、白い空間だった。
「お目覚めですか？」
声の方に振り向くと、黒スーツの男が立っていた。
「あなたは？」
僕が聞くと、男は答えた。
「私は案内人です。扉にご案内します。」
すると、男の背後に二つの扉が現れた。
「金の扉は天国の扉、黒の扉は地獄の扉です。選んでください。」
「あなたの人生、それが答えです。」

頭に人生の記憶が蘇る。
家族との日々、恋人の思い出、見捨てた友人、隠した嘘…。
振り返っても、選べなかった。

「時間です。」
男の声が響いた。
僕は震える手で黒の扉を押した。
黒の扉の先は、白い空間だった。
「地獄の扉のはずが、ここは天国ですね。面白い人生だ。」
男がそう言うと、光が満ちた。

目が覚めると、そこは僕の部屋だった。
そして、枕元の紙にはこう書かれていた。
「次は、選び直せますか？」