万能翻訳ビール

近所の怪しい酒屋で見つけた「万能翻訳ビール」。ラベルには「飲み方で世界が変わる」とある。
半信半疑で「チビチビ」と一口。
すると、座っている椅子が「おい、ケツが重いぞ」と呟くのが聞こえた。
どうやら無機物の声が聞こえるらしい。

驚いて、今度は「グビグビ」と飲んでみる。
飼っているハムスターが、回し車を走りながら「ふん、愚かな人間め。我が世界征服計画も最終段階だというのに」と語りかけてきた。これは、動物の声か。

もう後には引けない。
俺は缶を逆さにし、最後の液体を喉に叩き込んだ。

「ゴクゴクゴクッ！」

そして、ついに聞こえたのだ。
俺自身の腹の底から響いてくる、ビールの断末魔が。

「うわあああ！熱い！暗い！消化されるううう！」