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晩夏。浜のあちこちから、恋人たちの「あったー」という声と歓声が上がっていた。
「先輩。大成功ですね」と、後輩がニコニコしながらわたしを見た。
小石だらけの浜を観光資源にする委員に選ばれた(メンバーは私と後輩)とき、後輩がわたしに駆け寄ってきて、「貝合わせですよ!」と叫んだ。「か、貝合わせか、そっか」
そこから、浜でぴったり重なる石を見つけたら「石の絆認定書」と副賞を贈る、という企画が固まった。
「でも、四月に二人で調査した時は、全然みつからなかったじゃない?」
わたしは石を一つ拾って、しげしげと眺めた。
「はい。四つ葉のクローバーより難しいって、言ってました」
「なのに、ほら、みんな簡単に石を見つけてる。不思議よね」
「先輩。本当にわかんないんですか?」
後輩は、足許の石を一つ拾い、わたしに差し出した。
「四月はまだ、恋人じゃなかったからですよ」
二人の石はぴったり重なった。
「先輩。大成功ですね」と、後輩がニコニコしながらわたしを見た。
小石だらけの浜を観光資源にする委員に選ばれた(メンバーは私と後輩)とき、後輩がわたしに駆け寄ってきて、「貝合わせですよ!」と叫んだ。「か、貝合わせか、そっか」
そこから、浜でぴったり重なる石を見つけたら「石の絆認定書」と副賞を贈る、という企画が固まった。
「でも、四月に二人で調査した時は、全然みつからなかったじゃない?」
わたしは石を一つ拾って、しげしげと眺めた。
「はい。四つ葉のクローバーより難しいって、言ってました」
「なのに、ほら、みんな簡単に石を見つけてる。不思議よね」
「先輩。本当にわかんないんですか?」
後輩は、足許の石を一つ拾い、わたしに差し出した。
「四月はまだ、恋人じゃなかったからですよ」
二人の石はぴったり重なった。
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公開:25/10/14 21:29
更新:25/10/15 20:53
更新:25/10/15 20:53
新出既出です。
twitterアカウントでログインしておりましたが、2019年末から2020年年初まで、一時的に使えなくなったため、急遽アカウント登録をいたしました。過去作は削除してはおりませんので、トップページの検索窓で「新出既出」と検索していただければ幸いです。新出既出のほうもときおり確認したり、新作を挙げたりします。どちらも何卒よろしくお願いいたします。
自己紹介:「不思議」なことが好きです。
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