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ビールを呑むと、指先にピリッと小さな電流が走った。
「な、なんだこれ?」
泡が「ピカピカ」と光りながら弾け、グラスの中で小さな稲妻が跳ね回る。
思わずもう一口呑むと、泡の稲妻が天井に飛び、「ジリジリッ!」と電球にぶつかり、部屋中が点滅を始めた。
泡の稲妻がひとつ、窓の外に向かって飛んでいった。すると、外の街灯が順番に点滅し、商店のネオンや信号機もリズムに合わせてチカチカ光り出し、まるで街全体がビールの乾杯に参加しているかのようだ。遠くの高層ビルの窓も、ひそかに光を反射して輝く。
さらに驚いたのは、最後の泡が僕のコップから飛び出し、机の上のスマホをタップした瞬間、「ピカッ!」と光る画面に、呑んだビールの泡がアニメーションで動き出したことだ。
どうやらこのビールは、電気だけじゃなくて、世界までつなぐらしい。しかも乾杯のたびに、街も画面も巻き込むらしい。
まさか、ビール一杯で世界を照らすなんて。
「な、なんだこれ?」
泡が「ピカピカ」と光りながら弾け、グラスの中で小さな稲妻が跳ね回る。
思わずもう一口呑むと、泡の稲妻が天井に飛び、「ジリジリッ!」と電球にぶつかり、部屋中が点滅を始めた。
泡の稲妻がひとつ、窓の外に向かって飛んでいった。すると、外の街灯が順番に点滅し、商店のネオンや信号機もリズムに合わせてチカチカ光り出し、まるで街全体がビールの乾杯に参加しているかのようだ。遠くの高層ビルの窓も、ひそかに光を反射して輝く。
さらに驚いたのは、最後の泡が僕のコップから飛び出し、机の上のスマホをタップした瞬間、「ピカッ!」と光る画面に、呑んだビールの泡がアニメーションで動き出したことだ。
どうやらこのビールは、電気だけじゃなくて、世界までつなぐらしい。しかも乾杯のたびに、街も画面も巻き込むらしい。
まさか、ビール一杯で世界を照らすなんて。
その他
公開:25/10/11 00:32
1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。
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