肩荷下ろしサービス

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僕の肩は、もう限界だった。上司の無茶振り、後輩の尻拭い、家のローン。物理的な重さを伴うそれらを、ずっしりと両肩に感じていた。
そんな時、ポストに一枚のチラシが。「あなたの肩の荷、下ろします」。怪しさ満点だったが、藁にもすがる思いで電話した。
翌日、作業着の男たちがやってきた。特殊なゴーグルをかけた彼らには、僕の肩にうず高く積まれた透明な荷物が見えるらしい。「これは大物ですねえ」と感心しながら、彼らは手際よく“それ”をトラックに運び込んでいく。
みるみる体が軽くなる。心まで晴れやかだ。料金を支払い、僕は生まれ変わった気分になった。
帰り際、リーダー格の男が言った。「あ、お客様。この荷物、すべて粗大ゴミ扱いになりますので、回収費用は来月、請求させていただきますね」。
ずしり。僕の肩に、新たな荷が乗った。
その他
公開:25/10/13 00:27

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