朝稽古

　乾燥した肌寒い空気の中、木刀と六尺棒を手に、稽古場である公園に向った。通り道にある木々は、朝焼けの色が移ったかのようにすっかり色づいている。
　公園に着くと、まずは準備運動も兼ねて身ごなしの型をこなしていく。体の力んでいるところを緩めながら丁寧にこなすと、体はすぐに温まった。途中、犬の散歩や、やたらに手足を大きく振りながら歩く人が、公園の中を横切っていった。
　身ごなしを終えると獲物を握る。扱いはすっかり慣れたもので、重心を捉えながら、体のエネルギーをしっかり伝えて棒や木刀を振った。Ｔシャツがすっかり汗にまみれてきたころ、ランドセルを背負った子供たちがちらほら見えてくる。稽古を終えるタイミングだった。俺は獲物をしまうと、熱された体を冷ましながら、澄んだ空気を吸い込んだ。冬はもう近いことを実感した。