男と女

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 女は今日も客を取った。一人の男の売り上げのために、身を粉にして働いた。
 夜。人工的な煌びやかさの中、女は男といた。この時間のために今日も頑張ったのである。
「ちなみに、今日はどれくらいいける?」
会話の流れの中で男は聞いた。彼は先ほどから、斜め向かいのテーブルを気にしている。
「どれくらい必要なの?」
「これくらいかな」
 女がいつも頼むシャンパンよりランクが一つ高いものを、男はメニューを指しながら答えた。
「わかった。いいわよ」
 女は迷うことなく答えた。日常で自分を蝕む数字を、ここではできるだけ意識したくなかった。彼女は一人の女として、男とそこにいたかったのだ。
その他
公開:25/10/12 00:13

よたろー

なまけ癖を克服するために、毎日物語を投稿しています。読んでいただけたら幸いです。

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