田舎と都会と私

今年の夏、都会で暮らす私は両親に呼ばれ田舎の実家に戻ってきた。
農作業の手伝い。毎年、有給休暇はここで消費される。
私はそれが嫌ではない。ここには都会にないものが沢山ある。
昼は農作業を手伝い、夜は旧友と酒を飲む。
都会に憧れのある田舎。つい、いつでも遊びにおいで、なんて簡単に言ってしまった。

『遊びに来たよ』
私は度肝を抜かれた。都会に住む人達全員が呆然としていた。
それもその筈。何せ”田舎”が都会に遊びに来たのだから。
てか、田舎が勝手に動いて大丈夫？あなたで暮らしている人達は？
『今は収穫も終わって、ちょっとはのんびりできるから大丈夫。ウチで暮らしている人達も、一度でいいから都会に行ってみたいって言ってたから連れて来ちゃった』
無邪気な笑顔を浮かべる田舎。それを見た都会が田舎に惚れてしまったようだ。
その証拠に都会の顔と呼ばれる場所にいる人達がこの日、急激な温度上昇を感じたそうだ。