イヌの気持ち

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 処刑場がある。断頭台がある。明け方の光に包まれている。そこへ、一匹の野良イヌがやってくる。野良イヌは、断頭台のにおいをくんくんと嗅いだ後、おもむろに、断頭台におしっこをかけた。その断頭台には、先日処刑された革命家の男の血のにおいが染みついていた。その革命家は、この野良イヌに、パンをあげたことがあった。野良イヌが何を思ってこの断頭台におしっこをかけたのか、いかんせんイヌの気持ちはわからないので、はっきりとしたことは私からは言えない。
その他
公開:25/10/06 19:57

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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