ビールの生音 ー承ー

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 目の前の一杯。やがて「チビチビ」と味わう。一口ごとに、麦芽の甘みと潮の香りが混ざり、ゆっくりと時間が溶けていく。

 浜風がやわらかく髪を揺らし、泡のきらめきが目の端で光る。隣の棚には、まだ冷たい瓶が並ぶ。どれを選ぶか迷うのも楽しい。「今日は、どの味に冒険しようか」。小さな音が胸に響く。

 チビチビと飲むたび浜の匂いと父の笑顔がふわりと蘇る。波の音、グラスの触れ合う音、そして自分の呼吸。

 この静かな時間が、何よりも贅沢な一杯なのだと知る。
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公開:25/10/06 12:00
更新:25/10/06 19:05
クラフトビールコンテスト③ ショートショートガーデン ラベル小説

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