ビールの生音 ー転ー

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 「グビグビ」と飲み干すたび、浜の音が胸に染み込む。
 
 老猫がカウンターの隅で静かに目を細めた。遠くで船が汽笛を鳴らし、波が砂浜をくすぐる。
 
 グラスを置くと、喉の奥に小さな余韻が残った。「今日もいい一杯だった」。そうつぶやくと、夜の浜に、泡のようにやさしい時間が漂った。
 
 今日の一杯もこの浜で。グビグビと飲む音からまた新しい物語が生まれる。
 
その他
公開:25/10/06 12:00
更新:25/10/06 19:07
クラフトビールコンテスト③ ショートショートガーデン ラベル小説

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